人の命のはかなさ。

今日はカミさんと海までウォーキングをして、ビールでも飲もうと計画していた緊急事態宣言下の静かな土曜日になるはずだった。そんな朝7時にカミさんの携帯電話が鳴った。お義母さんからの電話だった。4日前に禁止されていた固形物を食べて、誤嚥性肺炎で入院したお義父さんが危篤だという。
お義兄さんはちょうど入院手続きを行うために病院に向かっている途中。僕たちは兵庫県までは車で10時間ぐらいの距離。カミさんはもう、死に目には会えないことが決定している。僕の親、次男などに連絡を入れつつ、何泊するか分からない遠い地に行く準備をして、車でと旅立った。
この瞬間に僕は風景写真を趣味にしていたということは、僕の役目はこの最期の式の全ての記録を収めることだと感じた。カミさんに一眼レフを持っていく許可をもらった。

途中のNEOPASA清水には初めて立ち寄った。ここでランチ。コンビニで買って車で食べる。静岡も緊急事態宣言下なので。サービスエリア内にいろんなショップがあって、ドン・キホーテ(ミチドンキ)もあった。
IMG_0538

カミさんに運転をさせる訳にはいかないので、運転だけでも腹が減る。宝塚北サービスエリアでは踊りだこのたこ焼きを補給。タコと皮が一緒に食べづらかったのが残念。運転をしながら、お義父さんとの思い出を必死に探していた。最期のプレゼントは何が良いのだろうかと…
IMG_0539

お義父さんはこんな機会を与えてくれた。長男の高速道路運転である。緊急事態宣言が延長された日であり、それが理由だったのだろうか、平塚から龍野まで渋滞が一切なく練習にはピッタリの日であった。
IMG_0540

夜の20時に宿泊可能な斎場へ到着。通夜は明日、告別式は明後日、コロナ禍なので家族葬と決まっていた。お義父さんは脳梗塞を患い、28年間老人ホームで過ごしてきた。当然、食事や飲酒の制限があった。それでも生きることを続けてきた。そしてこの2年間はコロナ禍対応で僕は会っていなかった。僕は大学時代から今のカミさんと付き合っていて、その時からカミさんの実家にお邪魔してお義父さんとお酒を酌み交わしていた。その時に飲ませてもらったのがにごり酒だ。今日の今日まで大好きなお酒を飲めなかったお義父さんへのプレゼントはそのにごり酒だ。お義父さん、今日からしこたま飲んでくださいね!酔っ払って寝てても誰も文句言わないから!なんて若い頃を思い出してくると、涙って溢れてくるもんなんですね。
お線香を絶やさないように今日この施設に泊まるのはお義兄さん、僕、長男、次男の男衆4人。近くのローソンでお酒をたくさん買ってきて、深夜まで久しぶりに飲んだ。思い出話し、今の話し、普段は家で酒量を抑えられているお義兄さんが酔って話しがスパークしてたのは楽しかった。お義父さんも笑ってくれてただろう!そしてにごり酒を一緒に飲んでくれてただろう!
IMG_0541